厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査2026(令和8)年5月分結果速報によると、現金給与総額は事業所規模5人以上で4カ月連続の3%台の増加となり、34年2カ月ぶりの水準を記録しました。注目すべきは、中小企業を多く含む5人以上規模の賃金上昇率が、大企業中心の30人以上規模とほぼ肩を並べている点です。賃金を上げながら労働時間を短縮する動きは、中小企業の現場でどこまで進んでいるのでしょうか。最新データから、その実態を読み解きます。
現れている事実
2026年5月の現金給与総額は、事業所規模5人以上で311,165円(前年同月比3.2%増)となり、4カ月連続で3%以上の増加、34年2カ月ぶりの水準です。規模30人以上では349,464円(3.3%増)で、63カ月連続のプラスとなりました。両者の伸び率の差はわずか0.1ポイントです。
労働時間は、5人以上規模の総実労働時間が129.4時間(前年比3.8%減)、所定外労働時間は9.4時間(3.0%減)、出勤日数も16.7日(前年差0.7日減)となりました。パートタイム労働者の時間当たり給与は1,452円(4.9%増)で、59カ月連続のプラスです。
数字が示す意味
中小企業を多く含む5人以上規模の賃金上昇率が、大企業中心の30人以上規模とほぼ同水準にあることは注目されます。所定内給与でも5人以上規模275,942円(3.0%増)、30人以上規模307,221円(3.5%増)と、伸び率の差は小さく、基本給の引き上げが中小企業にも広がっていることを示します。特別給与ではなく、きまって支給する給与(定期給与)が295,945円(3.0%増)と安定的に伸びている点からも裏付けられます。
同時に、総実労働時間と所定外労働時間がともに減少していることは、残業に依存しない働き方への転換が進んでいることを示唆します。賃金を上げながら労働時間を短縮するという両立が、一定の前進を見せています。
構造的な変化としての示唆
背景には、労働力人口の制約による人材確保競争があると考えられます。中小企業が賃金を上げなければ人材を確保できない状況が、働き方改革を後押ししている構図です。ただし実質賃金指数は、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で84.3(1.4%増)、消費者物価指数(総合)で86.1(1.7%増)と、名目賃金の伸びに比べ購買力の改善は限定的です。
また2026年1月の調査対象事業所の部分入替えにより、現金給与総額で-1,582円(-0.5%)、きまって支給する給与で-801円(-0.3%)の断層が生じている点にも留意が必要です。速報値は確報で改訂される場合があるため、今後の確報データや複数月の動向を継続して確認する必要があります。
詳しくは 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年5月分結果速報」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















