株式会社NTTファシリティーズは、合同会社デロイト トーマツと共同で開発した省エネ建築物の非エネルギー便益を定量化するNEBs指標を、生産施設と研修施設に対応する新評価指標として拡張しました。さらに、既存のオフィスビル版ロジックを用いて公共施設である庁舎の評価も実施しています。NEBsは、エネルギーや光熱費削減以外の効果を可視化する枠組みで、脱炭素の加速やエネルギーコスト上昇に対応する投資の意義を客観的に示す手法として位置づけられています。今回の評価では、光熱費削減効果のみと比較して、NEBsを含めた投資回収年数が約1/2から約1/7に短縮されると推計されました。対象の拡大により、オフィス以外の多様な建築物でも、省エネや脱炭素化の効果を総合的に示せるようになりました。ZEBなどの新築や改修における投資判断を支援し、企業や自治体の資産脱炭素化への貢献が期待されます。
生産施設版ロジックの狙いと評価手法 3エリア別にベネフィットを整理
生産施設では、熱中症対策の義務化や屋根置き太陽光発電の目標策定の義務化といった制度要請が高まり、脱炭素化の投資や職場環境整備の重要性が増しています。こうした背景から、ZEB水準での新築や改修の意思決定を後押しするため、生産施設版NEBs算定ロジックを作成しました。ロジックは既存のオフィスビル版を基に、製造エリア、事務所・研究エリア、福利厚生エリアに区分して効果を検討しています。製造エリアでは空気環境の改善や熱中症対策による健康被害額の減少などを評価項目に組み込み、福利厚生エリアではリフレッシュによる効果を追加しました。事務所・研究エリアにはオフィスビルと同様のロジックを適用し、エリア特性に応じた定量化を可能にしています。制度対応や人材確保といった経営課題とも連動しやすい構成で、投資対効果の把握を実務に落とし込めます。
生産施設での検証結果 光熱費削減とNEBsの合計は約2,000万円/年
大手自動車メーカー協力のもと、工場建屋の製造エリアを対象にNEBs効果額の算定を実施しました。延床面積約10,000平方メートル、従業員約100人の条件で、オイルミストコレクター導入による作業環境改善と空調運用改善を計画し、その他は標準的な設備機器を採用しています。算定の結果、EBとNEBsの合計は約2,000万円/年、そのうちNEBsは約1,030万円/年と推計されました。EBのみと比べてNEBsを含めた評価では、投資回収年数がおよそ半分になる試算です。オフィス用途と比べて単位面積当たりの従業員数が少ないため、光熱費削減の比率が大きくなる点も特徴として示されました。製造現場特有の空気環境や熱ストレス対策の効果が、定量的に投資判断に反映できることが明らかになりました。
研修施設版ロジックの開発 教育・人材育成に特化した効果を定量化
人的資本経営の重要性が高まる中、学びと成長の場としての教育・研修施設の価値を見える化するため、研修施設版ロジックを整備しました。自社所有の事務所ビルを対象とした12項目のNEBs指標をベースに、研修施設で発現するベネフィットを整理し、定量化のロジックを作成しています。これにより、新築や改修における投資判断や、施設運用の改善に活用できる枠組みが整いました。研修の場に固有の効果を評価項目として取り込むことで、従来のオフィス中心の評価では捉えきれなかった価値を算定できます。学習環境の整備に対する投資を、収益や人材政策の観点で説明可能にします。人材育成と施設整備を結び付ける評価手法として、活用の対象が広がります。
ダイダン八尾研修所での算定結果 合計約1,300万円/年の効果を推計
研修施設版ロジックの検証は、ダイダンが所有するダイダン八尾研修所を対象に実施しました。延床面積は約1,300平方メートル、年間利用人数は約180人で、改修プロジェクトはNTTファシリティーズとダイダンが設計・施工を担い、2025年10月7日から着手しています。算定の結果、EBとNEBsを合わせて約1,300万円/年、そのうちNEBsは約1,100万円/年と推計されました。効果が大きいのは、知的生産性の向上と人材確保・定着であり、研修受講者に発現する効果が顕著に表れています。学習効率の向上による通常業務での生産性向上、研修時の人脈形成や関係強化による離職率低下のほか、コミュニケーションコストの削減や採用力強化なども推定されました。ヒアリングを通じた検証により、研修施設の特性に根差した効果の実在性が示されています。
公共施設(庁舎)での検証 投資回収年数は約1/7に短縮と試算
既存のオフィスビル版ロジックを用いて、地方自治体の庁舎でNEBsの算定を実施しました。対象庁舎は延床面積約36,000平方メートル、従業員約1,500人で、主要設備の老朽化と災害時の業務継続性が課題でした。改修では、業務継続性の確保、2013年度比で温室効果ガス排出量約40パーセント削減、オフィス環境改善による働き方改革と利用者利便性の向上を図っています。職員へのアンケートやヒアリングによる検証の結果、EBとNEBsの合計は約2億5,900万円/年、そのうちNEBsは約2億2,100万円/年と推計されました。EBのみと比べ、NEBsを含めた評価では投資回収年数が約1/7に短縮される試算です。知的生産性や健康などオフィスと同様の効果が庁舎でも確認され、行政業務を支える環境整備と利用者利便に資する可能性が定量的に示されました。
今後の展望 評価対象の拡大と知見蓄積で普及を加速
今回の取り組みにより、オフィスに加えて研修施設、生産施設、公共施設でNEBsの定量評価が可能になりました。今後は、より多くの建物で評価と効果検証を進め、知見の蓄積を図る予定です。評価対象はさらに広がり、大学などの教育機関や商業施設でも評価可能なロジックの作成と検証を見据えています。省エネ化の普及促進とともに、エネルギー削減に留まらない多面的な価値創出への貢献を目標に掲げています。NEBsの枠組みが浸透することで、ZEB等の投資判断が総合的な便益に基づいて行えるようになり、企業や自治体の資産戦略に実効性が生まれます。定量評価の積み上げが、脱炭素と人材・地域価値の同時実現につながっていきます。プレスリリース元会社名は、株式会社NTTファシリティーズです。
詳しくは「株式会社NTTファシリティーズ」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















