総編集長コラム

    2021.03.05

    【鈴木塾長コラム】第1回 コロナが時代を加速させる

     新型コロナウィルスが全世界で猛威をふるい、私たちの生活を大きく変えようとしています。日本でも、5月4日に緊急事態宣言が5月末まで延長が決まり、同時に「新しい生活様式」が提示され、当面、緊急事態宣言の下での枠組みを維持することが望ましいとする考え方を改めて示されました。
     個人差はあるかと思いますが、私たちはこの環境に慣れてくるでしょう。そして慣れると同時に、私たちの価値観は少しづつ変わり続け、やがてこの混乱が収まったときには、全く違う価値観の時代となっているでしょう。
     新しい時代に対応し、生き残っていくためにはどうすべきか、何をすればよいのか「これから生き残る人、取り残される人」としてお話してまいります。

    本当に必要なものが見えてくる

     行動が制約される現在、人は本当に大切なもの、必要なものは何かを考えます。命、家族、恋人、友人を今まで以上に大切に感じ、今まで当たり前に思っていた日常に感謝を感じ、自分にとって本当に必要なものは何かが見えてくるのではないかと思います。本当に必要なものが見えたとき、私たちのライフスタイルは変化してくることでしょう。
     また、仕事に対する意識も変わってきているのではないでしょうか。生活のため働くことは当然ですが、個人の遣り甲斐であったり、社会への貢献を考え、今の自分の仕事を見直す人も多くなってきているようです。これからは、将来を見据えた仕事を意識する人が多くなってくるでしょう。

    急速に加速するデジタルシフト

     (380)

     外出自粛要請後、経済活動は停滞を続けています。それでも何とか経済を止めないように皆、工夫をしています。その最たるものがデジタルの活用です。デジタルシフトが進んでいる企業は致命的な打撃を受けずになんとか企業活動を続けています。もちろん職種によっては、単純にデジタル化は難しいとは思いますが、当面は人に会うことが制限されるのですから、デジタルを活用することは自然なことだと思います。しかし、リモートワークをしている企業でも、多くの場合、基幹業務をデジタル化やリモート化できていないために結局、出社することになってしまっています。これは、まだ過去の仕事の仕方を変え切れていない場合が多く、中には、デジタル化に対応できない経営者、管理職が出社を強制するケースさえあるようです。これから新しい時代に生き残るためには、過去の仕事の仕方にとらわれずに、積極的に意識を変え、業務を見直しデジタルシフト推進することが必要です。
     今後、デジタルシフトは急速に加速するだろうと思います。今までも企業はデジタル変革を求められてきていましたが、コロナショックにより、デジタルシフトは待ったなしとなり、10年で変わると予想されていたことが、一気に1,2年で変わってしまうのではないかとさえ思えるほど、急速に加速するでしょう。

    本物の価値は何も変わらない

     コロナにより私たちは、本当に必要なものが見え、デジタルシフトが加速していきますが、変わらないものがあります。それは本物の価値です。例えば、料理人の美味しい料理を作る価値、製造者の作る独自な製品の価値、アーティストのオリジナル作品の価値、サービス提供者の唯一無二のサービスの価値です。それらは絶対の価値であり、どのような環境下でも何も変わることはありません。変わるのは、不必要なものを買わなくなる人々の意識であり、デジタルを活用した提供手段であり、対応していくことは可能です。美味しい料理、独自な製品は自宅に届き、唯一無二のサービス、オリジナル作品はデジタル環境下で提供される形になっていくだけです。
     このように、コロナにより時代は加速され、私たちはとても厳しい時代を生き抜かなければいけません。人々の価値観は変わり、急速にデジタルシフトは進む中、私たちはどのように絶対の価値を追求していけばよいのでしょうか。次回以降、様々な切り口でお話を進めてまいりたいと思います。

    (つづく)
    鈴木 康弘(Yasuhiro Suzuki)
    1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、日本オムニチャネル協会会長も兼任。
    著書: 「アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか」 (プレジデント社)
        https://www.amazon.co.jp/dp/4833422662/
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