現場から経営まで全員が手を挙げたら、企業はどこまで変われるのか。延田グループが全従業員を対象に走らせた「ICプロジェクト」は、初年度で127件のアイデアが集まりました。雇用形態の壁を取り払い、アルバイト発の提案も最終アワードに到達。8件が受賞し、うち5件はテストへ。何が現場を動かしたのでしょうか。
雇用形態の壁を外した設計が生んだ127件と8件受賞、5件テスト走行中
延田グループは大阪市中央区に本社を置き、代表取締役社長は延田尚弘氏です。ICプロジェクトは、正社員だけでなくパート・アルバイトや派遣社員も対象とし、事業化に至れば「事業責任者」を対等に担える設計としています。初年度の応募は127件で、その内訳は新規事業アイデア90件、業務改善アイデア37件でした。審査の結果、アルバイトスタッフが考案した1件を含む計8件が最終アワードを受賞し、その中の5件がテストマーケティング段階へ進んでいます。対象となる5件は、新規事業の「販促事業」「インバウンド事業」「奨学金プロジェクト」、業務改善の「空き駐車場スペースの有効活用」「販促物のペーパーレス化」です。これらは一年単位で業績や費用対効果を精査し、黒字化や高い効果が見込めるものから順次、事業化やマニュアル化を図る計画です。
ICプロジェクトは、アミューズメントとレジャーを取り巻く環境変化に対応する構造改革の一環であり、「第二の創業」を掲げる延田グループの姿勢を具体化した取り組みです。現場と本部の距離を縮め、全員が主役として挑戦する文化づくりを目的にしています。単発のコンテストで終わらせないため、教育と伴走の仕組みを整備しました。教育講座はZoomと対面を併用し、事業計画書の読み方や新規事業開発の知見者による特別講演を実施しています。一次審査を通過した提案には、プロジェクトメンバーがマンツーマンで数値整合の確認や助言を行い、役員へのプレゼンとテストマーケティングに接続します。この伴走体制が、提案を現場の熱意だけに頼らず、実装まで導く土台になっています。
初年度の成果は量だけでなく質にも現れています。127件という数は想定を上回ったとされ、部門や雇用形態を越えて多様な視点が結集しました。最終アワードに到達した8件のうち、アルバイトスタッフのアイデアが含まれている点は、権限設計の対等性が機能していることを示します。テスト段階の5件は、収益化や効果検証のプロセスを明確にしており、リスクを抑えて前進する運用になっています。業務改善のテーマではペーパーレス化や駐車場活用が含まれ、既存資産の有効活用とコスト最適化の両立が狙いです。新規事業のテーマでは、販促やインバウンド、奨学金といった領域に焦点が当たり、顧客接点の強化と社会的価値の創出に踏み込みます。全体として、トップダウンとボトムアップを組み合わせた推進モデルが可視化されました。
今後は、テスト結果の精査を経て、黒字見込みの高い案件から順に事業化やマニュアル化を進める方針です。検証期間を一年単位で区切ることで、投資判断の透明性と速度を両立します。延田グループは、全員の熱意と挑戦を支えることで、企業活力を高め、地域社会へ新しいエンターテインメントと価値を提供し続けるとしています。プロジェクトが継続運用されることで、現場での学びが次の提案に循環し、応募の質と量の双方の向上が期待できます。教育講座とマンツーマン伴走は、次年度以降も提案の確度を押し上げる装置として機能し続けるはずです。対等な権限設計は、雇用形態を越えた当事者意識を引き出し、組織全体の変化耐性を高めます。
見解として、対等な責任権限とテスト運用の組み合わせは、提案の実装率を押し上げる現実的なアプローチだといえます。教育と伴走の投資は、一次提案の質を底上げし、採択後の失敗確率を下げる効果が見込めます。
詳しくは「株式会社延田エンタープライズ」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部





















