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コラム

DXがもたらす4つの変化、新たな社会常識を踏まえて変化に備えよ

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DXでは常に未来の姿を模索しなければなりません。しかし、既存の事例を模倣しても未来の姿には変われません。社会の変化などを加味し、自社がどう生まれ変わりたいのかを描くことが必要です。では、社会は今後、どう変わるのか。さらにDXによって企業の価値や社員の働き方はどう変わるのか。ここでは今後訪れる変化を考察します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。

今後訪れる新たな社会常識とは

 DXは企業や社会の未来を変える手段です。成功させるためには、未来の姿をきちんと想像することが大切です。自社を取り巻く環境や社会情勢を加味し、企業として勝ち残るビジョンを模索すべきです。  では、これからの社会はどう変わるのか。ここでは今後、必ず定着する新たな社会常識と、DXによって起こり得る4つの変化を紹介します。これらはあくまで筆者の仮説です。皆さんが描こうとする未来の姿を考えるヒントにしてください。  新たな社会常識の1つが「持続可能な社会の実現」です。  ここ数年、サステナブルという言葉をよく耳にするようになりました。サステナブルとは、人間、社会、地球環境の持続可能な発展を意味します。そのための具体的な行動指針をまとめたのが「SDGs」(持続可能な開発目標)です。  サステナブルの意識は新型コロナウイルス感染症のまん延を機に高まっています。外出制限や営業規制により、地球環境が劇的に改善したのです。大気汚染に悩まされていた地域では汚染が緩和し、観光客の減少により水質が向上したケースも少なくありません。一方、人権や貧困問題も社会課題として表面化しています。サステナブルに直結する課題と向き合う機会が増え、人々の意識はより高まるようになっています。  こうした動きに対し、企業には何が求められるのでしょうか。自社の利益を追求する企業と、社会全体の幸せを追求するサステナブルな取り組みは、一見相性が悪いように感じます。しかし必ずしもそうではありません。実際、多くの企業がサステナブルな取り組みに本腰を入れ始めています。その結果、サービス品質の向上、イメージやブランド価値の向上、新規事業の創出などに結びついています。  こうした企業のサステナブルな取り組みを支援するのがDXです。持続可能な社会では人やモノの移動は減ります。ネットを活用したりリユース品を使いまわしたりすることで、化石燃料の使用量を減らすことができます。SDGsに向け、国や地域、業界などの壁を超えて1つになって課題解決に取り組むようになります。これらはDXによって新たな枠組みを形成し、初めて取り組めるようになるのです。今後はDXを通じて問題解決を模索し、新たな価値を生み出す流れへと変わっていくでしょう。  もう1つの社会常識が「超高齢化社会の到来」です。  人の平均寿命は延び、“人生100年時代”が現実のものになりつつあります。2030年には人口の31.3%が高齢者になると予測するデータもあります。こうした社会では何が変わってくるのでしょうか。  世界中の専門家による共通認識は、「長く生きるためには、長く働かねばならない」です。60歳で定年という従来の考え方に縛られていると、100歳を迎えるまで40年間も無職の日々が続きかねません。金銭的にも困難が予測されることから、長く働き続ける生活は避けられないでしょう。  ここでもDXが大きな役割を担います。超高齢化社会では、1社で定年まで働き続ける働き方はもはや通用しないでしょう。さまざまな仕事を経験するのが当たり前になります。そのためには専門スキルを習得し、60歳を超えても社会と結びついた仕事をできるようにならなければなりません。デジタルを活用すれば、リモートワークや情報収集も容易になり、体力の衰えをカバーしてくれるでしょう。場所や時間、年齢の制約を超えて働くには、デジタルを積極的に活用することが望まれます。

DXがもたらす4つの変化

1.ハイブリッド・ワーキングの開始

 新型コロナウイルス感染症のまん延を機に広がったリモートワーク。今後は現在のリモートワークが進化し、リアルとネットの長所を活かした“ハイブリッド・ワーキング”という働き方が定着するでしょう。
変化1

変化1

ハイブリッド・ワーキングの開始
via プレジデント社「成功=ヒト×DX」

2.デジタル生産性の向上

 リモートワークやAIの活用などを通じてデジタル化が進み、生産性は向上するでしょう。さらに業界や組織を超えた最適化も進み、社会全体の生産性も高まります。
変化2

変化2

デジタル生産性の向上
via プレジデント社「成功=ヒト×DX」

3.「優秀な人材」の定義の変化

 DXにより、求められる人材が変わります。優秀な人材の定義が変わるでしょう。同時に企業は、新たな労働環境の提供を求められるようになります。
変化3

変化3

「優秀な人材」の定義の変化
via プレジデント社「成功=ヒト×DX」

4.共創による新しい価値創造

 DXによって既存の業界や組織の壁が崩れます。これにより、あらゆる分野がつながっていくでしょう。ヒト中心の共創が加速し、新しい価値が生み出されるようになります。
変化4

変化4

共創による新しい価値創造
via プレジデント社「成功=ヒト×DX」
 これら4つは、DXを進める上で必ず押さえるべき変化です。具体的にどんな変化が起こるのかは、次回のコラムで詳しく解説します。
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本連載は、プレジデント社刊行の「成功=ヒト×DX」の内容をもとに、筆者が一部編集したものです。
プレジデント社「成功=ヒト×DX」
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。
前回までの記事はこちら
#1 他人任せの意識がDXを停滞させる
#2 「デジタル格差」が迷走に拍車をかける
#3 社内の人材育成が、DXを成功に導く
#4 「経営者の決意」が変革の第一歩
#5 DX推進に消極的な経営者を説得せよ、経営者タイプに応じた効果的な説得方法とは?
#6 リスクは回避せずに受け入れろ! 弱腰な経営者のもとでDX成功はあり得ない
#7 DXの成否を決める「推進体制」、構築に必要な3つのポイント
#8 優秀なメンバーを集めるだけでは不十分、DXを進める体制構築で最も大切な6つの極意
#9 DXプロジェクト始動時の注意点、抵抗勢力との衝突を想定した対策を
#10 業務改革の課題解決に役立つ3つの視点、迷走しない進め方とは
#11 業務の流れと課題を丸裸にする業務フロー図の描き方
#12 業務の課題を原因や優先度で分類、3つの方法で課題解決を模索せよ
#13 ITは自社でコントロールし、クラウドを前提とした柔軟なシステム像を描け
#14 システム全容を見える化し、機能・技術・費用・組織の4視点で課題を追求せよ
#15 ITシステム導入を成功へ導くならクラウドファーストとノンカスタマイズが鉄則

#16 DXによる変革は「定着」がカギ、継続的な意識改革で6割の社員を味方につけよ
#17 変革を社内に根付かせるなら、抵抗勢力と真正面から向き合え
#18 DXの成功にもっとも必要なのは「人」、社員の自立とマルチスキルを支援してデジタル変革者を育成せよ

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