DXによる取り組みは、社内に定着しなければ意味がありません。そのためにはDX推進チームなどの一部のスタッフだけでゴールを目指すのではなく、全社員を巻き込む全体一丸体制の構築が大切です。では、周囲を巻き込むには何をすべきか。変革を盤石にするのに必要なこととは。ここではDXによる取り組みを定着させるポイントを紹介します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。
「6割の人」を味方にして変革を定着せよ
本連載ではこれまで、時代に合わせた業務改革の進め方とITシステムの活用方法を紹介してきました。これらを無事に終えたら、最後はDXの総仕上げとして周囲に広げて定着させていきます。
参考:前回の記事/新たにITシステムを導入するときのポイントはこちら
ITシステム導入を成功へ導くならクラウドファーストとノンカスタマイズが鉄則 このとき実施するのは、まず2割の人たちに理解してもらうことです。「2:6:2の法則」を聞いたことがあるでしょうか。どんな集団でも、2割の上位の人、6割の中間の人、残り2割の人がいるという法則です。 DXの取り組みを周囲に巻き込むときも、この法則に当てはまります。2割の人の理解を得られれば変革は進むでしょう。ゴールに近づくにつれ、6割の人もいつの間にか理解者に変わっているはずです。もっとも、残り2割の人は、8割の人の理解を得られたとしても当面は理解を得るのは難しいと考えるようにします。 変革で難しいのは何より「定着」です。変革を定着させるときのポイントは、中間の6割の人の意識改革を継続させることです。
ITシステム導入を成功へ導くならクラウドファーストとノンカスタマイズが鉄則 このとき実施するのは、まず2割の人たちに理解してもらうことです。「2:6:2の法則」を聞いたことがあるでしょうか。どんな集団でも、2割の上位の人、6割の中間の人、残り2割の人がいるという法則です。 DXの取り組みを周囲に巻き込むときも、この法則に当てはまります。2割の人の理解を得られれば変革は進むでしょう。ゴールに近づくにつれ、6割の人もいつの間にか理解者に変わっているはずです。もっとも、残り2割の人は、8割の人の理解を得られたとしても当面は理解を得るのは難しいと考えるようにします。 変革で難しいのは何より「定着」です。変革を定着させるときのポイントは、中間の6割の人の意識改革を継続させることです。
変革風土ができると、変化に強い組織に変わる
社内の多くの人を巻き込み、変革を定着させるには、「デジタル推進体制を構築する」「未来を想像し、業務を改革する」「自社でITをコントロールする」といったDXを実践するためのステップを組織として習慣化することが大切です。そのためにはデジタル推進チーム、業務改革チーム、ITマネジメントチームを継続的に活動させ、参加者の主体者としての意識を育むようにします。
人は一般的に決まったことを押し付けられるとどこか反発しがちです。しかし、自らが主体となって決めた場合、決まったことを守ろうとします。
変革も同じです。一部の人が盛り上がっても、多くの人は「関係ない」と思うでしょう。しかし自らがプロジェクトに参加できる機会をつくることで、多くの人は変革を自分事と考えるようになり、やがて定着化します。
多くの企業では、組織の縦割り化が進み、部門間のコミュニケーションが不足しています。自部門に閉じ、他部門を理解しようとしないことが原因の1つと考えられます。
しかし、他部門を理解しようとする視点を持てば、考え方は少しずつ変わり、理解できるようになるはずです。
全社員が参加するDXに取り組めば、変革風土を醸成できるようになります。その結果、DXを成功へと導くのはもちろん、変化に強い組織づくりも見込むことができます。
変革を盤石なものにする
DXによって縦割りの組織や企業、業界を横串でつなぐことができれば、これまでにない新たな価値を生み出せるようになります。もっとも一企業の取り組みでは、変革は限定的なものにとどまってしまいます。
変革をさらに進めるには、他企業や多業種を巻き込むことも視野に入れます。これにより変革をさらに大きなものにすることができます。
そこでこれからは、デジタルを活用して周囲を巻き込む「デジタルオープンイノベーション」を起こすことが必要です。オープンイノベーションとは、社内と社外のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造することを言います。デジタルオープンイノベーションではまず、自社のDXの取り組みを周囲に伝えることから始めます。
例えば、次の内容を周囲に伝えます。
・自分たちはなぜ、DXに取り組もうとしているのか
・どのような未来を目指しているのか
・業界や社会にどのような影響を及ぼすのか
・自分たちと一緒に取り組むことのメリットは何か 他社や他業界を巻き込み、それぞれのアイデアやテクノロジを集約すれば、新たな価値を創出できます。それどころか、さらに大きな変革を生み出せるでしょう。立場を超え、お互いに意見をぶつけ合い、ともにゴールを目指すことでお互いを高め合うこともできます。考えられないほど大きな結果をもたらすこともできるでしょう。 こうした機会に恵まれれば、人生において貴重な体験となるのは確実です。そして、その中心となる人や企業は、自身の変革を盤石のものとするはずです。
・自分たちはなぜ、DXに取り組もうとしているのか
・どのような未来を目指しているのか
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筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。
前回までの記事はこちら
#1 他人任せの意識がDXを停滞させる
#2 「デジタル格差」が迷走に拍車をかける
#3 社内の人材育成が、DXを成功に導く
#4 「経営者の決意」が変革の第一歩
#5 DX推進に消極的な経営者を説得せよ、経営者タイプに応じた効果的な説得方法とは?
#6 リスクは回避せずに受け入れろ! 弱腰な経営者のもとでDX成功はあり得ない
#7 DXの成否を決める「推進体制」、構築に必要な3つのポイント
#8 優秀なメンバーを集めるだけでは不十分、DXを進める体制構築で最も大切な6つの極意
#9 DXプロジェクト始動時の注意点、抵抗勢力との衝突を想定した対策を
#10 業務改革の課題解決に役立つ3つの視点、迷走しない進め方とは
#11 業務の流れと課題を丸裸にする業務フロー図の描き方
#12 業務の課題を原因や優先度で分類、3つの方法で課題解決を模索せよ
#13 ITは自社でコントロールし、クラウドを前提とした柔軟なシステム像を描け
#14 システム全容を見える化し、機能・技術・費用・組織の4視点で課題を追求せよ
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